慈光院は寛文3年(1663)片桐且元の甥,石州流茶道の祖として知られる片桐石見守貞昌(石州)により、父貞隆候の菩提寺として建立された臨済宗大徳寺派の寺院である。庭園は、一見田舎の農家を思わせるような空間に雄大な大刈込みが横たわり、さらに一直線に刈られた刈り込みの向こうに大和青垣の連峰や奈良盆地が連なり、限りなく豊かな眺めが繰り広げられる。其処には石組も灯篭も見当たらない、一見平凡・単調な庭園でありながら、しかしその中に激しい力を秘める禅味あふれた借景と大刈込みの庭園である。書院の東側の広縁続きに建てられた高林庵茶室は二畳台目の席で「亭主床」の席として世に知られている。 |